内容紹介
巨大な体躯と強靱な力を持ち、人間を餌とし滅ぼそうとする最強の生命体である竜が存在する世界。村を竜に滅ぼされたヴィンクは共に生き残った友人メルタナと共に復讐のために唯一竜に対抗することができる屍竜使いとなる。二人が派遣されたのはかつて村を襲った敵国であり、そして復讐の竜である棘黒が襲来しているナフリ王都。
信仰心厚い二人が違う宗教国の敵国を守るために屍となった竜に精神を乗せ棘黒との戦いを強いられる。
魂を削り、人の心を削りながら屍竜を操るヴィンクとメルタナ。果たして二人は棘黒を倒すことができるのか?そして復讐の先に待つものとは?
竜と戦うことがいかに恐ろしく、残酷なことか。竜が最強である古き良きファンタジー作品が好きだった人には特に読んで欲しい2007年に発表された作品で一番オススメしたい1冊です。
人は信仰心から魔法を使いこなせるが、武器も魔法も傷を与えられない竜に怯え食料として蹂躙されている世界。その中で唯一竜に対抗できる魔法・屍竜術。最強の生命体の竜に対抗するためには竜を、として考えられた死んだ竜の魂と同調し操る魔術。屍竜対竜による人の立ちゆかない熾烈な戦いは読んでいる者にも心奮わせてくれます。復讐だけを心に誓い生きてきたヴィンクが敵国で出会う少女達や死にゆく敵国民を目にし変化していく姿。そして、竜の魂に触れていくことによって壊れていく人としての心。
人が如何に無力で、それでいて竜に対抗できる力を手に入れることの恐ろしさ。竜という絶対的な敵がいるにも関わらず収まらない人同士の対立。
人の醜さ、美しさ、すべてを描ききった作品です。
2007年に発表された作品で一番読んだ回数が多く、それでいて今でも最後を読んで目が潤んでしまう作品です。