遺跡発掘師は笑わない 三体月の呪い
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内容紹介
「天才発掘師」の噂を聞きつけた地権者から依頼を受け、和歌山へ赴いた無量。平家の落人伝説が残る、風光明媚な町だ。
しかし、意気込んで向かった発掘現場で、無量の身に立て続けに不穏なことが起こる。
聞こえるはずのない声が聞こえたり、誰かに腕を掴まれたような気がしたりするのだ……。
発掘作業員で元舞台俳優の佐分利亮平にその話をすると、「熊野古道を成仏できずに彷徨う旅人の霊のしわざでは?」と脅され、無量は震え上がる。
実際、古人の思いがそこかしこに籠められた熊野古道では、不思議なことがたくさん起こっているらしい。
不穏な気配を感じながら発掘作業を進めると、現場から出てきたのは、たくさんの経筒(きょうづつ)。経巻を保護するための筒形容器だ。
ひとつひとつ検めていくが、無量は嫌な予感が止まらない……。
最後に開封した経筒から出てきたのはなんと、人形の頭(かしら)。しかも人毛が埋め込まれているようだ…。
その佐分利亮平、実は古くからこの地域に伝わる能の流派、「発心流」の跡継ぎ。
舞台俳優を辞め、父の後継となるべく修業中だが、厳格な父とは折り合いが悪く、
また父の一番弟子からは跡継ぎの座をめぐって睨まれており、居心地の悪さを感じていた。
そんな亮平の家には、「道成寺雛」という内裏雛が代々伝わっていた。
その雛人形を見た無量はぞっとする。なんとお雛様には顔がなかったのだ……。
しかも、肌の色などはどことなく、発掘現場から出土したあの頭に似ている。
恐らく、経筒の中に入っていた頭はこの道成寺雛のものだろうが、いったいなぜ?
カメケンチームは結託して、この内裏雛の謎を解こうとするが、そんな最中に亮平が事故に遭う。
背後には、地域に伝わる安珍清姫伝説や、あの「空海」も絡んでいそうで……?